2007年春 就職内定者(Iさん)へのインタビュー
今回は、今年の春、大学院を卒業して、ある重厚長大メーカーに勤める予定になっているIさん(仮名)に、「明日、会社を辞める会」がインタビューをしました。
※Iさんのプロフィールはこちら
(辞めようの会)こんにちは。お忙しいところを本日はどうも。
(Iさん)どうも〜。
(辞めようの会)内定をゲットしたとのことで、おめでとうございます。
(Iさん)どうもありがとうございま〜す!
(辞めようの会)どういった企業に決まったんですか?
(Iさん)いや〜。しがない企業ですよ〜。
(辞めようの会)業種はなんですか?
(Iさん)いや〜、メーカーですね。
(辞めようの会)大学院ではどういった勉強をされてたんですか?
(Iさん)いや〜、しいていうなら、自然科学ですね。
(辞めようの会)ホウホウ。
(Iさん)フムフム。
(辞めようの会)自然科学といいますと?専門は何ですか?
(Iさん)いや〜、物理学ですよ。
(辞めようの会)企業に勤めるにあたって、どんなことを今思っていますか?
(Iさん)いや〜、ほんとはね、一日中、ふとんでゴロゴロしていたいですよ。でもね、わたしも、食べていかなきゃいけないんで、それで、しょうがなく就職したってわけですよ。いや〜、ほんとね、ふとんはいいですよね。
(辞めようの会)私もそれについては賛成です。会社に入るのに不安とかってありますか?
(Iさん)いや〜、それは、ありますけどもね。どうしようもなくなったら、自殺すればいいですからね。
(辞めようの会)自殺しようとしたことありますか?
(Iさん)いや〜、今のところは、ないですけどもね。これから、会社に入って、どうしようもなくなったら、するかもしれませんね。(爆)
(辞めようの会)そういう方のために、「会社を辞めようの会」があるんですよ。私達は、自殺をする前に、会社を辞めるための方法を皆さんにお伝えしてるんです。
(Iさん)ホホウ。そりゃ、いい話だ。
(辞めようの会)だから、もし自殺をしようなんてことを考えるんだったら、自殺の前に一度、会のことを思い出してください。ところで、会社の新入社員研修とかはどうなっていますか?
(Iさん)入社してから、一ヶ月ほど、泊り込みでありますね。
(辞めようの会)山にこもったりとかするんですか?
(Iさん)それに近いと思いますね。
(辞めようの会)研修のカリキュラムはどんな感じですか?
(Iさん)ビジネスマナーなどですね。
(辞めようの会)“あいさつの仕方”などですかね?
(Iさん)そうだと思います。不必要に馬鹿でかい声で、あいさつすることを叩き込まれるんだと思います。
(辞めようの会)そんな予感がしますか?
(Iさん)ええ。します。カリキュラムの中に、“私の挑戦”というのがあって、新入社員の前で、発表しなければならない時間があります。
(辞めようの会)発表の準備はしてますか?
(Iさん)まったくしてないです。中身が分からないので、今のところは何とも言えません。
(辞めようの会)Iさんの中で、働くってどういうことですか?
(Iさん)私は、働きたくないですね。私にとっての、労働とは食うための手段に過ぎないですね。むしろ、ふとんでゴロゴロするために、働くような感じですね。
(辞めようの会)怠惰ですね。
(Iさん)ええ。怠惰です。
(辞めようの会)就職活動で悩んだりとかはしなかったですか?
(Iさん)悩みは、ありましたね。それはですね、なぜ落とされたのかが、分からないのが悩みでしたね。
(辞めようの会)フムフム。
(Iさん)ウヒウヒ。
(辞めようの会)自分を落とした企業に問い合わせたりとかはしましたか?
(Iさん)問い合わせたりしましたが、教えてくれませんでしたね。何も言ってくれませんでした。ケシカラン!
(辞めようの会)ほんと、そうですね。Iさんは、将来の夢とかってありますか?
(Iさん)もちろん、ありますよ。なるべく早く、ラットレースから抜け出して不労所得で生きていくことですね。ウヒウヒ。
(辞めようの会)具体的なプランはありますか?
(Iさん)皆無ですね。これから、プランを立てていくところです。
(辞めようの会)競争社会であると考えているんですか?その中で、のしていくのは疲れるという感じですかね?
(Iさん)いいえ、ガンガンのしていきすよ。経営者にまで登りつめて、ガンガン、リストラしていきますよ。きゃっ、きゃっ(笑)
(辞めようの会)野望を持っているんですね。
(Iさん)ええ。私は野心の塊ですよ。
(辞めようの会)本日はどうもありがとうございました。
(Iさん)え?もう終わっちゃうんですか?
(辞めようの会)ええ。
(Iさん)もう少しお話しましょうよ。ざっくばらんに。何でも聞いてください。私は逃げも隠れもしません。
(辞めようの会)では、退職することについてはどうお考えですか?
(Iさん)そうですね、、、特に罪悪感などはありませんね。転がる石にはコケは生えないといいますからね。エヘヘヘヘ(笑)
(辞めようの会)退職すると、引継ぎとかしなければならないと思うんですよ、その辺についてはどう思っていますか?
(Iさん)基本的に、トンズラはしないようにしますが、ただ、明日にでも辞めたくなったら、出社拒否して引継ぎはしないかもしれないですね。
(辞めようの会)無責任だとか思わないですか?
(Iさん)いや、むしろ、私は平成の無責任男です。プピー。
(辞めようの会)そこなんですよね。引継ぎがどうとか言う世代と、若い世代でかなり温度差があると思いますね。
(Iさん)ムムムムム。といいますと?
(辞めようの会)いや、つまり、この会を発足したのも、若い世代の無責任をどうしていくのかという問題がありまして。組織にいったん入ったら最後、人間関係に巻き込まれてしまうわけで。退職をするときに、周囲から“そうは簡単に足抜けさせてたまるか”というブレーキがかかるわけですよ。Iさんは、どうお考えですか?
(Iさん)私は、そういう情況に遭遇したら、トンズラしますね。ピュー!と。全力でダッシュして逃げますよ。やはり、これからの会社人間は逃げ足が重要になってくると思いますね。私も、常日頃、逃げ足が鈍らないよう鍛えていますよ。
(辞めようの会)ランニングとかやっているんですか?
(Iさん)もっと、ハードですね。短距離走ですね。逃げ足は、まずスタートダッシュが重要ですからね。スタートで追いつかれてしまうと、もうどうしようもありませんからね。でも、逃げ足について「辞めようの会」の方に語るなんて、釈迦に説法になっちゃいますね。
(辞めようの会)いえいえ(笑)
(Iさん)やはり、辞めようの会の方は逃げ足は超一流なんでしょうか?
(辞めようの会)「辞めようの会」では、短距離走はやってないですけどね。でも、そういった肉体的な鍛錬も今後必要になってくるかもしませんね。
(Iさん)なるほど。
(辞めようの会)若い世代が、いま政治的にバラバラの状態になっていると思うんですが、それについてはどうですか?
(Iさん)そうですね、それはあるかと思いますね。
(辞めようの会)昔は、会社組織に居続けるということで、何となく意識がまとまっていたということはあると思うんですけど。
(Iさん)フムフム。
(辞めようの会)私達がやろうとしてるのは、会社を辞めやすくするという活動なんです。退職については、実際的な情報があまり無いなかで、個々の労働者が宙ぶらりんになって、一人で悩んでいたりするものでしょうから。
(Iさん)そうですね。「辞めようの会」の方に、頑張っていただいて会社に事前に通告することなく、トンズラする権利を勝ち取ってもらいたいですね。
(辞めようの会)ただ、これからIさんは、企業で頑張っていこうという人ですからね。石の上にも三年という言葉がありますね。
(Iさん)ええ。頑張って経営者まで登りつめて経団連に入りたいですね。
(辞めようの会)大きな野心の持ち主ですね。
(Iさん)ええ。二回目になりますが。私は野心の塊です。
(辞めようの会)すみません、お時間が来てしまいました。インタビューはこれで終わりです。最後に何か一言お願いします。
(Iさん)経団連に入った後は、ホワイトカラー、ブルーカラー問わず、すべて裁量労働制にして賃金をカットしてやりますよ。そのカットした賃金でますます私は肥え太っていくわけですよ。研究者も裁量労働制が多いんですよ。どんなに働いても給料は決まっていて残業代は全くつかないわけなんですよ。それを一般の労働者諸君にも適用してやるわけですよ。いったん、裁量労働制を認めさせたら、もうこっちのものですよ。どんどん仕事量を増やしていくわけですよ。それでも、こちらが払う給料はまったく変わりませんからね。ウヒヒヒヒ。
(辞めようの会)本日はどうもありがとうございました。